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「まだ着任したばかりの若輩者と聞いている。[親の七光り]でなったような奴だから、着いてくる者が少なかったのだろう……どっちみち、鉄甲騎六騎に騎馬四十騎という数は、大国にとっては小規模であっても、この砦にとっては、脅威には違いはないさ」
「ぞっとしませんね……」
「それにしても、謀反失敗に備えていたとは……将軍はよほど用心深いのか、なんとかって辺境伯は配下からも信用されていないのか……」
報告によると、飛び去ろうとする飛空船を発見した鎮圧部隊は慌てて追撃したものの、間に合わずに逃走を許してしまった。だが、砲撃の一部は命中し、機関に損傷を与えているらしく、それほど遠くには飛べないと思われていたのだが、その油断から、その後に派遣された討伐隊が将軍旗本衆の抵抗に遭い、結果、国境を越えて逃走を許してしまったらしい。
結局、飛空船は東の方角に逃走したことが判明しただけである。そして、その後の調査で将軍の船は、ウライバ近くに逃れたことが発覚したとのことであった。
クメーラ国内は現在、鎮圧されつつあるものの、いまだ混乱状態にあり、追加の討伐隊を編成する余裕はない。
要するに、逃亡した将軍の対処を、逃走先であるウライバに丸投げされた形となったのだ。
「飛空船が被弾したのは幸いでしたね……少なくとも、直接ウーゴ砦に攻め込まれる心配はなくなりましたから」
少しだけ安堵の表情を見せるヘルヘイに対し、イバンは複雑である。
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