兇賊と将軍

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 グルズさんの調べたところによると、奴らさんの脚甲騎は今日中には修理が終わる。夕方にはイバンの野郎さんも帰ってくる。このままだと、砦の戦力は盤石って訳だが、増援も交代もないから、相当疲弊しているはずだ……」 「グルズ?……あの翼の亜人であるか……」  暗がりの片隅に、先ほどのツバサビトが蹲るように控えていた。  まるで汚物を見るかのような態度の将軍を、ゼットスは窘める。 「そういう目をしちゃあ、いけねぇよ。役に立つ奴は、大事に扱わなきゃ」  言葉を発しながら、平伏すツバサビトと同じ高さにしゃがみ、その肩を親しげに叩くゼットス。 「それに、ウライバ攻略の[奥の手]さんも、グルズさんがいなけりゃ、話を付けることは叶わないんだからなぁ……」 「わかっているのである!」  いちいち苛立つが、正論なので仕方がない。そんなドルトフの態度が少し気に入らないのかゼットスは少々声を荒げる。 「だいたい、その[奥の手]さんは当てになるのか?!」 「何を言う! 現にこうして、ウーゴ砦に増援が行かぬように手を回しているではないか……!」  興奮して思わず膝立ちになり、両腕を振って苛立つドルトフにゼットスは、 「まぁまぁまぁ……少し落ち着けや。茶の代わりはいるかい?」  と、自分が煽ったにも拘わらずいけしゃあしゃあと茶を注ぐ。     
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