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少年と鉄甲騎
〈ウーゴ砦〉――
深く切り立った谷に挟まれた、街道よりの入り口を守るように南に向けて湾曲した形に聳える石材と鋼鉄の巨大な城壁は、遙か昔からそこにあるかのごとく周囲に溶け込み、まるで遺跡のような雰囲気を醸し出している。
だが、四ヶ所の外郭塔と鋸状の狭間を有する赤い屋根を乗せた回廊に並べられた照明の輝きと、それらに電力を供給する発電施設の立てる音が、この砦が遺跡などではないことを物語っている。
この砦は、西方暦二〇六年に築城された、歴史ある建造物である。古い建築物ゆえか、至る所に補修や改修の跡も見える。もちろん、文化財保存のようなものではなく、今後も使用に耐えうるように考えてのものであるから、デザインの調和など考慮されてはいない作りとなっている。
城壁の六ヶ所に砲台らしき櫓が見受けられるところから、おそらくは無理矢理ながらも近代化改修も施されていることを窺い知ることができる。
城壁の中央にある、巨大な城門の内側には、守備隊の施設がある。
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