プロローグ

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私鉄の駅の階段をホームへ降りていくと、その日はやけにそこが輝いて見えた。 いつもよりざわついたホーム。 見慣れない顔。 『そうか、新学期か・・』 新しい制服。 白いシャツの襟。 白いスニーカーやソックス。 どれも眩しかった。 いつもと代わり映えのしない、くたびれたスーツを着ている自分が恥ずかしくなった。 『週末、クリーニングに出すか』 襟元を少したたいてみた。 新入生を横目に見て、 『11年か・・』 ふと頭の中で計算して呟いた。 その声は滑り込んで来た電車の音にかき消された。
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