2221人が本棚に入れています
本棚に追加
「相沢君、ちょっといい?」
私が現れると、途端に気まずい顔になった相沢君を見て、やっぱり恵子に嘘をついたんだと確信した。
きっと、私によく似た女の子と恵子を二股してるんだろう。
そして、それを誤魔化すために、私を悪者にしたんだ。
自分が悪者にならないために。
「……ごめん、今からちょっと用事が」
「逃げるの?」
かなり冷たい声で言い放った。
それでも相沢君はこの場から逃げようとする。
私は彼のその腕を掴み、行動を止めた。
「ほら、恵子、見てみなよ。紗南ったら相沢君にまた言い寄ってるよ」
そんな声が後ろから聞こえてきた。
背中に冷や汗を一気にかいてしまう。
勢いよく振り返ると、この教室の扉の前に立っていたまどかと恵子の姿があった。
最初のコメントを投稿しよう!