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「あっ……」
誤解を解こうと思って起こした行動が、裏目に出てしまった。
私は慌てて相沢君を掴んでいた腕を離す。
相沢君はこれ幸いと、そのまま恵子のもとへ走って行った。
「紗南ったらバレたからもうあからさまって感じだよね。相沢君、大丈夫?」
「助けてくれてありがとう。恵子、向こうに行こう」
そう言って相沢君は恵子の肩を抱き、この教室を後にした。
まどかは、相変わらず軽蔑の視線を送って来る。
この一連の行動とやり取りで、私は隣のクラスでも悪者扱いの視線を痛いほど浴びてしまった。
もう、それからは毎日が針の筵(ムシロ)だった。
噂はどんどんと大きくなり、「友達の彼氏を奪った奪略女」から「彼女がいる男なら誰でもイケる」というレッテルを張られ、知らない男子生徒からもからかいの声をかけられるようになった。
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