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それは突然の出来事だった。
ずっと目立たなく控えめに過ごしてきた私に、まるでドラマのような最悪のシナリオが始まってしまった。
「ちょっと紗南。あんた、どういうつもり」
いつも私の『弥生 紗南』という名前を呼ぶ友達の恵子が、登校するなり私を誰もいない化学準備室へと案内してきた。
そして、開口一番にこの言葉を言われたのだ。
「どういうつもり……って。どういうこと?」
「しらばっくれるんじゃないわよ。昨日、見たんだから!いっ君と紗南が、教室で二人で抱き合っているところ!」
「……はっ?」
いったい何を恵子は言っているんだろう。
いっ君というのは恵子の彼氏でたしか二人は付き合って二か月くらいだったはず。
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