靴が無い

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ねえ、あなたは誰なの?モヤモヤとした輪郭が、だんだんクリアになっていく。 「私が誰か、ですって?知らないの?」 ううん、知ってる。よく知ってるはず。 だって、あなたは。 「私は、ユミよ。」 ******** ユミが失踪して、一ヶ月になる。 あれほど頻繁にラインのやりとりをしていたユミからぱったりとラインがこなくなった。 心配になった私は、ユミのアパートを訪ねたが、インターフォンに応答はなかった。 両親に連絡をとってみたら、逆にユミを知らないかと訊ねられた。 ほどなくして、捜索願が出されて、今に至る。  そんな折りに、Mから電話があり、私は懐かしさに話が弾んだ。ユミが失踪したことを伝えると、Mは驚いて、会って話をしないかと言って来た。もちろん、断る理由は無い。  軽く食事のできる喫茶店で待ち合わせてランチをした。とりとめのない話、ユミの失踪の理由についてあれこれとお互いに考えをめぐらせたが、答えは出なかった。しばしの気まずい空気を遮るように、Mがこう切り出してきた。 「ちょっと付き合って欲しいところがあるんよ。」 私はデジャヴュを感じた。 どこかで聞いたようなシチュエーション。 Mの車に乗って、大きな会館のような施設に連れて来られた。     
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