靴が無い

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ワンワンと鼓膜を震わせるのは、老若男女の合唱だ。頭の中をサラウンドして、脳みそがかき混ぜられるよう。 そしてその中に、私はMを見つける。 きっとそのMは、誰も知らない。 そうか、ユミ。 靴が無くて、帰れないってこのことなんだ。 私は、分かりきったことをMに聞いてみた。 「あなたは誰?」 Mはクスクスと笑い、だんだんと曖昧なMという符号を解くと共に輪郭をあらわにした。 私のよく知っているあなた。 「私は、マナミよ?」 ****** 「ねえ、聞いた?マナミが行方不明になったんだって!」
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