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或る夜
マコはクラブ『エリザ』の看板ホステス。
店長にも気に入られ、飴色の金髪とふくよかなFカップの胸と、スラリと伸びた長い脚。
身長170センチの長身で、ハーフやクォーターと間違われる事が多いが、生粋の日本人だった。
スッキリした顎のラインとカタチの良い唇で、男を一声ベッドに誘ったなら、それを断る男は居ないだろう。
その日も、彼女を気に入る男性客を、仕事の終わりにアフターに誘い、乗り込んだ男性客の車の中で、淫らな行為に及んでいた。
「リリア、ホテル行こう……」
「うん、さすがに街中でカーセクはないわ」
クスッと笑って、助手席に身を乗り出して、マコの唇を貪る男の胸を押し返して顔を向けた。
リリアはマコの源氏名だ。
素っ気なく目を逸らすマコに男は、彼女の機嫌を損ねたのではないかと、狼狽える。
「ご、ごめん。怒った?」
「別に。……早く行きたい」
男はホッとして、エンジンをかける。
顔を背けたマコは、助手席から見える外の風景を見たまま、そっと運転席の男の腰に手を当てた。
「リリアちゃん?」
「……ちょっとだけ、触っちゃおうかな……」
マコの言葉に、ビクンとカラダを震わした後、惚気た声で男は『いいよ』と呟いてゆっくりアクセルを踏み出した。
「あぅっ」
マコの滑らかな指の動きに反応して、男は声を漏らす。
(ちょっと左の太ももに指を這わせただけで、どれだけ敏感に反応するんだ?)
こいつ、絶対ド・マゾだ。
マコはそう思った。
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