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『クランベリーの砂糖漬け買ってくるから。』 それがお母さんが聞いた お姉ちゃんの最後の声だった。 『今日は早く帰れるの?』 朝食のテーブルで、シンクの方を向いたまま言ったお母さんの背中に 「友達とカラオケ行く約束してるから遅い。」 と答えた。 昨年と同じやりとり。 『ケーキは食べる?』 それも昨年と同じだよね。 「いらない。」 お母さんは何も答えずに、シンクに向かっている。 その背中に 「いってきます。」 と告げて靴をはいた。 昨年のこと。 起きたらまた同じことが繰り返されるんだろうな。 今年の明日も。 ベッドに入るときそう思ったんだ。 * 『あーちゃん、あーちゃん。』 耳元で誰かが言った。誰かってお姉ちゃんの声そっくり。 スマホを見たら2時。 誰がなんのイタズラ? 夢? 『あーちゃんってば。』 首を捻って少し目を開けると、お姉ちゃん! 「なに?えっ?夢?」 『みたいなもん。』 三回忌は二年目にするから、昨日は普通にお坊さんに拝みに来てもらった。 お姉ちゃんが逝って3年経った。 怖いとか思わないけど、びっくりするよね。 「な、なに?」     
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