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『ごめん、驚かして。あのさぁ、どうしてもあーちゃんにお願いしたいことがあるんだ。今日、朝8時に佐々木電機さんの交差点に来て。』 佐々木電機の交差点、お姉ちゃんが事故にあった場所。 3年前の昨日。私のせいで。 体を起こした。お姉ちゃんはいなかった。夢? 3歳年上のお姉ちゃんは、お菓子作りが趣味だった。 あの時も私の誕生日ケーキを作ってくれている途中だった。ちょっと前に私が、クランベリーの砂糖漬けがのってるケーキが食べたいって言ってたことを、きっと思い出したんだ。 だから。 8時っておかしいよね。学校の時間。さぼれってことかな? 今年もお母さんにケーキは?って聞かれて、 いらないって答えてる。 昨日の夢でしっかり思い出したしね。 誕生日は贖罪の日。これから一生。 制服のまま、二度と来たくなかった場所に来る。 この交差点で、お姉ちゃんともう一人の人がトラックにはねられた。 昨日、お母さんとお父さんが供えた花がある。私は来ていない。 ぼっーと立っていたら、後ろから声がした。 『おまたせ!』 お姉ちゃんの声。 血だらけのお姉ちゃんがいたらどうしよう。私を迎えに来たのかな。やっぱり私のせいだから。 恐る恐る振り返った。 お姉ちゃんは高校の制服姿だった。 本当はその制服を私がお下がりでもらうことになってたんだよね。     
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