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血はついてなかった。あんなに血だらけになってたのに。
『ごめんね、急に。びっくりしたよね?』
お姉ちゃんはニコッと笑った。私は笑えない。
「ごめんね、お姉ちゃん」
お姉ちゃんは、首を振った。ちぎれそうなくらい。
『違うから。あーちゃんのせいじゃないからね。』
お姉ちゃんは昔からずっと優しい。
『あのね、お母さんがパートに行ったら一度家に帰って、私の机の引き出しから赤いリボンを取ってきてほしいの。』
お姉ちゃんはそう言って顔の前で手を合わせた。
もうそろそろお母さんは家を出ている。
私たちは二人で家に帰った。お姉ちゃんに教えてもらいながらリボンを探す。
あの日、お姉ちゃんの鞄から出てきたリボンだった。
お姉ちゃんの鞄には、このリボンと小さな新しいカードが入っていた。クランベリーはなかった。
『ありがとう!・・でね、その引き出しに袋がはいってるの。』
小さな袋にはかわいいシールが貼ってある。
『それを届けてほしいの。』
お姉ちゃんはちょっと下を向いて言った。
誰に?
佐々木電気の交差点とは、反対の方向に歩く。二人で歩いてるけど、周りの人には私一人に見えている気がする。
「お姉ちゃんのこと、私にしか見えないよね?」
お姉ちゃんは少し頷いた。
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