曇る空の国で

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「カナタは、見えない者の存在は信じる?僕は、信じるよ。例えば、僕のこの手。なぜ実態があるかわかる?そして、なぜこうして腕につながり、関節一つ一つの機能に意味があるかわかるかい?そこには、"何か意図して作られた"ようにしか見えないんだよ、僕には。わかるかい?」 「ああ…そういうのって、よくアニメの設定とかであるよな。」 「設定ではなく、これは事実をもとにした科学的推測なんだ。昔の科学者たちは、宗教や哲学、そういった思想や目に見えない不確定的要素を馬鹿にしていたんだ。特に宗教と科学とは対立したものとして見られてきた。でもそれは、僕は間違っていると思うんだ。僕は長年、そういった対立や、昔からの固定観念というものに疑問を持ってきた。でもさ、そういうことを考える少年って、いかにも"イカれたヤツ"だと思わないかい?自分でも、僕って人と違うなとは思っていた。だから、そうやって僕を異端として扱い、イジメてくる奴らの存在は至極当然のことだと受け入れていた。」 「なるほど…。でも、それと今の楽しそうなお前とはギャップがあるよな?」
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