第1章

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1週間近く降り続いた雨が止み、久方ぶりに雲一つ見えない空に太陽が登った日曜日。 家々の窓は大きく開け放たれ、洗濯物がベランダや庭に干され、丘の上から吹き下りてくる風ではためく。 その町を見下ろす丘の上の公園で、1人の男が身体を掻き毟っていた。 ボリボリボリボリ 悲鳴を上げながら身体を掻く。 「痒い! 痒い! 痒い!」 ボリボリボリボリ ランニングシャツに短パン姿の男は、身体のあちこちにミミズ腫れが出来る程の力を込めて、両手で身体を掻き毟る。 ボリボリボリボリ ミミズ腫れの幾本かからは血が滲んでいるにも関わらず、男は身体を掻き毟り続けた。 ボリボリボリボリ
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