第1章

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町を見下ろす丘の上の公園で、全身を掻き毟っていた男の身体で培養された突然変異した新種の白癬菌。 身体を掻き毟る事によって生じた微小な皮膚の断片が風に乗り、洗濯物に付着したり開け放たれた窓から家の中に入り込んで畳や壁に付着したりした。 それらに付着した白癬菌は蒸し暑い梅雨の天気に助けられ死滅せず、洗濯物を身に付けた者や畳に寝転んだ者達の身体に乗り移り、乗り移った者達の身体で培養され彼らに接触した者達にも次々と移る。 条件が整いすぎた梅雨時の悲劇であった。
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