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本日は、遺留品の鑑定に居残る、あの鴫鑑識員が居て。
「これは、木葉どの。 何ぞ、気掛かりでも御在りかえ?」
独特な物言いの鴫鑑識員に、手塚刑事は度肝を抜かれる想いだが…。
「ちょっと、ね」
言われずとも手袋をする木葉刑事は、渡された家計簿を開いて見て。
「あ、手塚さん」
8月最初の頃のページに貼って在るレシートを見せる。
「ふむ、‘便箋’・・な。 然も、二冊か」
頷いた木葉刑事は、鴫鑑識員に向くと。
「鴫さん」
「何ぞえ?」
「これまでに入手した防犯カメラの映像には、誰か映っていましたか?」
「これこれ、木葉どの。 映像は、何日にも亘るぞな。 犯行の日時も特定されて居らぬ今、それを電光石火で突き止めよとは、酷ぞ」
確かにその通りと、頷く木葉刑事だが…。 ふと、何を思ったのか、余所見をすると。
「今頃、迅の奴はデートを上手くやってるかな?」
こう呟いた。
また、呟く木葉刑事の声を聴いた手塚刑事が。
「あ、誰だって?」
「大学の後輩で、二課のエースです」
「ほう。 なら、公務員Ⅰ種と司法試験を?」
「楽々に」
噂する相手の頭の出来を知る手塚刑事は、驚いて見せてから。
「自分の身もフラフラしている奴が、他人の心配なんかするか?」
「いやいや、女性の紹介を頼まれたモンで」
「おいおい、木葉。 お前の知り合い何ぞ、高が知れてるンと違うか?」
「いや~~それが師匠、凄い美人ッスよ。 胸もドンと、ド~ンと」
「おい、マジかよ」
二人の下世話な話しを聴く鴫鑑識員だが、馴れているのか全く嫌う顔でも無い。 然も、自身がGカップ超えのくびれ美人なだけに。
(木葉殿、妾が・・紹介されないのは、キープと云う事なので在ろうか?)
彼をチラ見する鴫鑑識員は、庶務課や生活安全課という、若い女性職員が多い処で噂に挙がるイケメンだの、出世株の刑事や職員には全く興味が無い。 不思議と、周りが嫌う頃から木葉刑事を見ている。
だが、そんな鴫鑑識員の心内を知って・・居るわけが無さそうな木葉刑事。 然も、飯田刑事から電話を受けると。
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