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「凶器、携帯やスマホに、そして便箋。 無くなった物は、全て被害者の死の理由を語りそうなものばかり」
「ま、確かに」
「被害者が自殺して困るのは、誰か解りませんが。 普通ならば、保険金とか・・金蔓だったとか」
「・・まぁ、な」
「おそらく今回の事件は、突発的に起こった可能性は在ります。 現場から物証を持ち去った犯人には、予想外の事だったのかも知れません。 便箋が在ったと思われる机、出入り口のドアノブにだけは、相手の解らない第三者の指紋すら在った。 一部の指紋は拭い去られたのに、あの辺りに残すのは、焦っていた証です」
「ん、それは・・言えてるな」
「持ち去られた便箋か、手紙の内容が解れば、一発ですがね。 でも、もしかしたら八橋さんが、それを見付けてくれるかも…」
「八橋って、一課のお前と同じ班に居る、ガタいの大きい奴だろう?」
「はい」
‘何のこっちゃ’
と、思う手塚刑事は、まだ木葉刑事よりも新任刑事頼みと云う処で、少し残念と云うか、微妙な気持ちに成る。
然し、木葉刑事は視えていた。 被害者の死んで居た部屋にて、礼儀正しく頭を下げて来た被害者の幽霊を。
ー どうか、穏便に…。 どうか、どうか、穏便にお願いします。 -
と。
その様子は、明らかに加害者を庇う様なものだが。 木葉刑事は、その姿を視て読んだ。 自殺した被害者だが、其処には第三者が絡むと…。
その後、足を使って捜査し続けていれば、雨の降り出しそうな日暮れで聞き込みを切り上げ様か・・と、二人が思う頃。 八橋刑事より木葉刑事に電話が入る。
「木葉先輩っ! ビンゴっ、当たりですよ!」
「あら、や~っぱり有ったりしちゃった?」
「はい。 先月、8月の終わりです。 被害者の起こした昔の事件を掘り返す様な事を仄めかす内容が、〔日本絶対公平サービス〕って云うサイトの場所に書き込みして在りました」
「何なのサ。 その馬鹿らしい名前のサイト」
「このサイトは、罪人とそうで無い者をより分け。 懲役などの法律が課す刑罰を不服として、刑期を終えた重大犯罪者に、世間の目を再度向けさせる事を主体にしてるみたいです」
サイトの存在内容を聴いた木葉刑事は、馬鹿らしい内容に頭痛を覚える。
「罪人じゃ無いなら、何をしてもイイって訳じゃ無いだろうよ・・。 それこそ、立派な犯罪行為だよ」
木葉刑事の本音に、八橋刑事も同じ思いがして。
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