第二部:秋冬の定まり。

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傍目で動きながら聴く里谷刑事は、細めた眼を木葉刑事に向けつつ手を伸ばす。 長丁場となる場合の用意が一式入るブランドバックを掴む手が、何処と無く乱暴だ。 その内心で。 (うぉい! 清水さんの叔父だか叔母さんの店がっ、有名な老舗割烹の何とかだろうがっ!!。 タダだぞっ、高級懐石がっ、タダっ!) 密かに、誘われた時から相当な気合いを入れて楽しみとしていた里谷刑事は、この事件への巡り合わせと木葉刑事の態度に、若干イライラする…。 さて、本日に篠田班へと舞い込んで来た事件の現場は、北区の赤羽。 駅から徒歩10分の古めかしいアパートにて、男性の遺体が発見されたと云う。 そして既に今回は、捜査本部(帳場)が立ち上がっていた。 赤羽警察署に向かった篠田班は、帳場の準備が終わった会議室に入る。 古い大会議室は殺風景で、ベージュの壁すら色褪せて見えた。 だが、木葉刑事が会議室に入ると…。 五分刈りの頭がもう白い、堅太りの年配者が先制攻撃とばかりに。 「こ~の~はっ、また細い枝みたいな身体しやがってからに」 と、厳めしい声を掛けて来る。 その声に反応した飯田刑事と木葉刑事は、その年配刑事の前に行き。 「手塚さん、どうも」 「手塚師匠、お久しぶりッス」 二人の挨拶を貰う年配刑事は、資料の配布を手伝いながら。 「飯田、いぃ~面構えに成って来たな。 それに比べて、木葉。 お前のそのゆる~い面は、一生直らんのか?」 片や、薄笑い。 片や、苦笑い。 だが、資料を受け取りし一課の二人は、肉体の一部が乾燥化し始めたカビの葺く遺体写真を見て。 「飯田さん。 この遺体・・何だか病気で倒れたっぽいッスね」 「ん。 死因と成った刺創が無ければ、心筋梗塞なんかの病気で倒れたみたいだが…」 遺体の周りに争った形跡は無く。 本当に、病気で倒れた様な様子なのだが…。 何枚か在る部屋の写真を眺める木葉刑事は、そのうちに。 「この被害者・・元は囚人の経験者・・・かな」 と、呟いた。 手塚刑事と飯田刑事は、素早い動きで木葉刑事を見る。 固肥り体型の年配者となる手塚刑事は、目つきを細め。 「木葉、お前ぇ今、なんてった?」 だが、部屋の全体写真を見る木葉刑事は、その部屋の整い具合いを眺めながら。
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