第二部:秋冬の定まり。

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座る刑事達は、一斉に身を正す。 木田一課長が意見を云う時、刑事達が自然と身を正すのだ。 「この亡くなった人物は、料理人としての修行をして各地を転々としていたらしい。 だが、数年前からは、私も知る寿司屋の職人をしていた。 だが、その仕事先などへの聞き込みでは、自殺する様な素振りは無い・・と」 この話を聴く捜査員の大半には、何とも言えない雰囲気が広がる。 事件性の無い場合は、自殺なり事故死で良いのだ。 処が、この事件にはもう一つの事件も絡む。 自他殺不明の遺体が発見された現場から200メートルと離れて無い場所にて、一週間ほど前にも包丁と思われる凶器に因る傷害事件が発生して居た。 この2つの事件が関わりが有りそうと云う意見と、無いとする意見に別れている。 さて、遺留品の一覧も見た木葉刑事は、其処で手を挙げる。 木田一課長は、文句も覚悟する中。 「何だ、木葉」 「はい」 資料を眺めながら、木葉刑事は木田一課長へこう聴いた。 「この、自分の部屋で亡くなって居た被害者ですが。 写真から見ると、部屋に固定電話が無い様ですが…。 所持品には、スマホやら携帯など連絡を取るものは一切無かったのでしょうか。 仕事先と成る寿司屋と自宅は、駅区間にして乗り継ぎが必要で、約7駅。 緊急時の連絡には、どっちかが必要な感じがしますが?」 すると、木田一課長の顔が急に‘らしく’成った。 「実は、殺人と判断したのは、其処に理由が在る。 被害者は最近に成って、漸くスマートホンを買ったらしい。 遺体には不自然な傷痕が在り、凶器が無い、連絡を取る手段も消えた。 更には、部屋の鍵も無い…」 「詰まり、遺体の状態は自殺者なのに、第三者が着けた外傷が在り、現状から持ち去られたものが在る・・。 其処には、自殺とは思えない事件性が窺える・・と?」 「そうだ。 もし、遺体を発見したのに通報せず、物証や遺留品を奪うならこれも事件だ。 また、自殺を他殺に見せかけたならば、その意図によっては立派な事件だ。 其処を見極める為、帳場を立てた」 頷いて座る木葉刑事。 他の刑事達も、確かに奇妙だとザワついた。
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