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毎回三人の毒見役を使って安全を確かめた素晴らしい料理の数々を、まずいなどと言うのは、我がまま以外の何ものでもないと。
(だって、ほんとにまずいんだもの)
聞かれたから、ちゃんと本当の事を答えたのに。
他人の考えている事はぼんやりとわかるのに、こちらの思いはまるで伝えることが出来ないもどかしさ。口惜しさ。
その時の悔しさを思い出し、涙ぐんだルオーは、つい、袖口で眼をこすってしまった。
袖口の、豪華な金糸の、ごわごわした高級レースで顔を。
(あ・・・しまった・・・)
こすったところがみるみる赤くなり、ぱーっと発疹が浮いてくる。
かゆい。無茶苦茶かゆい。
掻けばひどくなるのはわかっている。わかっているが、止められない。
顔も身体もかきむしってしまい、赤くなり、熱をもって火照る。
その上に吐き気がこみあげて、ルオーはしゃがみ込んでしまった。
かゆい。熱い。苦しい。
「・・・苦しい・・・助けて・・・誰か、助けて・・・」
贅をつくした広大なロードリアスの王宮。
遥かな山並みまで続く原始林を背景に、そびえ立つ白亜の竜王神殿。
だが、そこで暮らす人々は一人として、八歳の少年がたった一人で苦しんでいるのに気付く事はなかった。
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