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さて、麻薬の影響から思考能力が麻痺して居たという事実はあるが。 やはりこの章太をはじめとして、チンピラの若者達も極限にまで切羽詰まっていた。
一方、闇金の窓口に居た男が金を持ち逃げし、章太たちが限度を超えた取り立てをしたことで、運営元の暴力団も面倒な立場に追い込まれた。 地元の他の極道より、そちらが子供の集も収められないから、警察から関係無い此方まで目を付けられるとか。 取り立ての遣り方があまりにも非道で、周りにも迷惑を掛け無理なことをし過ぎる、と忠告される。 その為、対処に困った暴力団も、売った債権を手離す様にと章太たちへと脅しを掛けていた。
その結果、章太の仲間の二人はその見せしめとしてリンチに遭い。 別の仲間の一人は、親が首を括ることに至って、目が覚めた。 仲間が居なくなる上に、2000万円の金がこのままでは無駄に成ると思った章太にすれば、破れかぶれで在った事には変わり無い。
この小柳老人には、このチンピラに成った息子の下に、娘と息子の二人が居た。 このチンピラに成った彼一人で他の子供達を壊す訳には行かないとして、息子の犯罪を何とか止め様と包丁まで持ち出したが。 短刀で足を切りつけられ、動けなく成った。
一方、父親からも刃向かわれ、母親や姉弟からも責められた章太は、思うように行かないことからその精神は崩壊し、錯乱してしまう。 時間が過ぎるだけのジレンマで行き場を無くして自暴自棄と成り、石油ストーブに使う灯油を家の中に撒いた。
夕方。 その修羅場に、今回自殺した被害者の基郎氏がやって来た。 何故、こんなにも早く彼が来れたかと云うと。 流石に誘拐にまで踏み切ったと聴いては、他の仲間だった者も手に負えないと思ったらしい。 章太が行きそうな場所を基郎氏に教えたのだ。 章太たちが何時も塒にする潰れた飲み屋にて、車を運転していた仲間が逃げて来て。 姪を捜すに飛び込んできた基郎氏と遭い、彼へ小柳老人の自宅を教えたと云う経過がある。
小柳家へと駆け付けた基郎氏は、半裸にされた姪を見て驚き。 親の制止を振り切って姪に襲い掛かっていた章太と、命懸けで格闘する事と成った。 みすぼらしい小さな平屋の中で、障子や襖を破る乱闘が起こる。 そして、揉み合うまま縁側へと転がった時、章太の持つ短刀を離そうと持ち上げようとした基郎氏だが、そのドサクサの最中で誤って章太の喉を切った。
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