第二部:秋冬の定まり。

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すると、木葉刑事は腹をさすり。 「はぁぁぁ、お腹減った…。 俺の弁当、まだ残ってるかな~」 こんな戯言を呟きながら回れ~右をして、会議室の在る方の階段へと向かって行く。 周りで見ていた刑事達は、やり込まれた桔梗院弁護士を初めて見た。 また、真横に居てそれを見た手塚刑事は、 (木葉め、なかなか面白いものを見せつけやがる) と、改めて木葉刑事に感心した。 だが、木葉刑事には視えていたのだ。 嘆く姪の彼女の傍に寄り添い、背中をさすっていた叔父の霊の姿が。 自分が早まった行動をした為に、如何にまた大切な人々を傷つけたのかを知る彼の姿を…。 自殺した彼は、誰も怨んで居ない。 自殺した彼は、誰にも怒って居ない。 こんな幽霊を視るのは、数ある中でも希と思う木葉刑事。 亡くなった被害者の事を、加害者の彼には知って貰いたかった…。
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