第二部:秋冬の定まり。

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そして、 「あのっ、教えて下さい。 あの人の犯した殺人事件は、どんな内容だったんですか? 恨みとか、金銭が欲しいとか、個人的な理由が在って殺したんじゃ…」 と。 この問い掛けを受ける桔梗院弁護士は、まだ彼が大きな勘違いをしていると感じて。 (やはり、か。 ダメだ、これはダメだ。 彼が勘違いをして居る間は、有利な判決を勝ち取るのは微妙だ) こう感じた桔梗院弁護士は、遂に自殺した被害者の事件を語った。 そして、あの通帳を取り出して見せると。 「彼が出所してから、10数年。 被害者遺族の方に送られた、慰謝料の総計だ。 君が…」 こう語る桔梗院弁護士は、一層の謝罪の態度を促す気だった。 彼が反省をして、‘死ねばよかった’と云う気持ちを改めさえすれば…。 だが。 「う・う゛ぅ・・・」 桔梗院弁護士が通帳を開いて見せれば、座りながら俯いて呻き始めた大学生。 その姿を見る桔梗院弁護士は、彼が反省を強めたと見たのだが。 突然に若者は立ち上がれば。 「う゛わ゛ぁーーーーーーーーーーーっ!!! どうしようっ! どうしようっ!! 僕はっ、本当に人殺しだあぁっ!!!!!」 桔梗院弁護士も呆気に取られるほどの激しく彼が爆発した。 椅子を押し飛ばすほどに勢い良く立つ彼は、涙を流して狂った様に謝罪し始めた。 被害者の男性へ、その遺族へ…。 その様子より、彼が受けた動揺の強さが窺える。
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