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恵一が私の事を好きだった。その事実が私に多幸感を感じさせる。 そして、喜びと共に絶望を呼び起こさせる。 恵一が私の事を好きで、私も恵一の事が好き。 その両想いという事実。それが幸せ以外の何物であるだろう。 でも、それは。その幸せは確実に失われてしまうのだ。 だって、恵一はもうすぐいなくなってしまうのだから。 そして、いなくなってしまった後も、きっと私は恵一を忘れることはできないだろう。 恵一が私を好きでいてくれたという事実が私の恵一への思いを縛り続けるだろう。 まるで、呪いのように。 恵一が私の事を好きなんてことを知らなければ忘れられたかもしれない。前向きに生きる事もできたかもしれない。 恵一の顔を見る。恵一はまっすぐに私を見つめている。ああ。分かってしまった。 「私も恵一の事が好きだよ」 私の言葉に恵一が顔を歪めて笑った。 「その言葉が聞きたかった」 最高のプレゼントだ。 私はこの呪われたプレゼントを喜んで受け取ろう。 それが私と恵一の絆なのだから。
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