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私はついこの前まで、出版社で働いていたの。
年齢も17ではない。
なぜ高校生になったのかは、不明だ。
まあ、テレビでよくあるタイムスリップしたとか、入れ替わったとかではなく、体が若返ったっていうの。というアニメもあったような気がしたけど。
とにかく、私は心はおばさん、身体は高校生なのだ。
若返るというのは気分がいいもので、お肌は化粧しなくてもいいし、少し走っただけでは疲れない。
話がかみ合わないこともままあるが、若い子たちと触れ合えるのは楽しい。
勉強は難しいけど、なんとかついていけている。
とはいっても、最初は大変だった。
この子誰?ってなるし。私も自分のことよくわかってないし。
病院で検査しても異常はないし、見た目は高校生だし。
結局、釜房夏美の隠し子ってことになり、実家の両親とともに暮らしている。
私が高校生になったから、もちろん本物の釜房夏美はいない。
行方不明ってことになっているが、住んでいた家は売られ、実家には写真が飾られて、もう葬儀を終えました状態。
これで本物に戻っても、お化け扱いされるだけだ。
両親には心配をかけてしまった。でもその分、今の私が頑張らないと、とは思っている。
名前がいっしょなのは、私が名を夏美と名乗ったから。
だってそうでしょ。私は釜房夏美なんだもの。
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