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その勘違いは高校二年生のある日、棗からの意を決した告白で発覚する。
学校中に無駄に笑顔を振り撒いて、そのかわいらしいワンコに似た高い顔面偏差値、平均より低い身長で数々の女生徒(時には男子生徒)を虜にしてきておいて。
実は女の人が苦手だ、と。
杏ちゃんは近寄り難い雰囲気をいつも出してるから近くにいれば女子も遠巻きに見てるだけだったから助かってた、と。
律儀にも謝罪付きで真実を私に告げる。
つまり私と一緒にいたのは都合が良かったからで、けしてすきだったわけではなくて。
恐らく顔から湯気が出るかと思うほどに、私の顔は真っ赤になっていただろう。
そしてこの告白は前置きに過ぎなかった。
死にかけるほどのダメージを受けた私に追い打ちをかけるかのように、彼はとんでもないことを言い出したのだ。
「それで、実は、僕...き、きりはらくんのこと、すきになっちゃった、みたいで」
「.....は?」
辛うじて反応できた自分を褒めてやりたい。
若干喧嘩を売るような返答だけれど。
案の定、私の反応に棗は俯いて黙り込んでしまった。
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