プロローグ

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目に見えない拳が胸骨のど真ん中を殴ってくる。 突然すぎて、吸い込んだ息が吐き出せない。 自転車を止めてしゃがみ込む。 埃っぽいアスファルトに次々と浮かび上がっていく水滴の染み。 ああ、私はまた泣いているんだ。 麻理ちゃん…息を吐きながら呟く。 拳の痛みは、弱まることがない。 そして、 中途半端な涙と共に下っていく。 胸の奥なのか、腹の底なのか… 正体のわからない拳を飲み込んで 重くなる身体。 無理やり立ち上がらせて また、自転車に乗る。 この感情の名前はなんというのだろう?
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