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「俺も……俺も、好き」
ぎゅっとこぶしを握っていた山上君の手の力がふっと抜けて、私の指と彼の指がそっと絡まる。
「俺、嫌な気持ちにさせてしまうかも知れないよ」
「私だって、山上君を嫌な気持ちにさせちゃうことあると思うよ」
「俺、本当はさっきみたいにすっげー口悪いよ」
「いいよ?私まだまだ山上くんの事たくさん知りたいもん」
「......うん」
「私ね、すごくドキドキしてる」
「俺も」
「一緒だね」
「一緒だ」
やっと視線が交わって、二人でクスクス笑いながら恥ずかしさを隠すためか、繋いだ手をぶんぶん振って。
「俺こういうの初めてで、どうしたらいいかよくわからなくて」
「......私も。だからさ山上君、全部二人で知っていこう?」
これからもきっと続くこのドキドキと、手から伝わる温もり。
いつもの二人から、ちょっとずつ変わっていく二人。
そのすべてを、君と。
「手の、触れる距離で......これからも」
「うん」
あったかくなるこの気持ちも、きっと一緒。
優しい微笑みがそっと近づいて
大好きな人との口づけを交わした。
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