お兄ちゃんの代わり

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「山上君、お兄ちゃんと知り合いだったの?」 「ん……バンドで」 「えっ!?山上君、お兄ちゃんと一緒にバンドしてたの!?」 「………とりあえず行くよ」 山上君はそう言うと私のカバンを奪って前を歩き始めた。 「カバン…大丈夫だよ」 「いい」 短い返事。 私の顔を見ることなく前を向いたままの小さな声。 胡桃色の髪が風で揺れる。 私は彼の歩幅に合わせるのに必死で、そこからずーっと無言のまんま。 同じクラスでも話したことも無かった山上君。 まさか、お兄ちゃん繋がりで話すことになるなんて…… 「あ、あのっ……こっちは駅じゃない」 「いいから、こっち」 お兄ちゃんの代わりに私を家まで送る事を頼まれたのだと思っていたけど、山上君が頼まれたのは私をお兄ちゃんのバイト先まで連れていくって事だったみたい。 30分くらい歩き続けて、お兄ちゃんのバイト先のカラオケボックス前までたどりついた。
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