とある冬の日の、Cafe桜守-サクラノモリ-のスタッフたち

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「死ぬな、円花――!!」 そして、円花が寝ているベッドの傍らで、冗談なのか本気なのか珍しく羽鳥が騒々しい。 「うるさい、羽鳥。……これくらいで、くたばるわけないだろ」 うつるからどっか行け、と追い払うように手を振る円花から、意地でも離れまいとする羽鳥。 病気の飼い主の傍を離れようとしない忠犬といったところか。 円花がだるそうにアイコンタクトで、連れ出せ、と風雅に訴えてきたので、風雅はやれやれと羽鳥を無理やり部屋の外へ引きずり出した。 「放せ風雅。俺は、円花の看病をする」 「俺だって、月白の看病してぇっつの」 病人2人はかまうな、というがそうもいかない。 病人を2階に残して、下でカフェを経営してなどいられないし、晴海と東雲もおそらく来られないだろうからスタッフも足りない。 そろそろ開店時間になるのだが、朝からバタバタしていたために開店準備も何一つできていない。 どう考えても今日の営業は無理そうである。 臨時休業の札でもかけてくるか、と風雅は階下へ降りていった。 *** 「円花。何か食べられるか」 「……いらない」 「なら、何か飲めるか。水分くらいは取るべきだ」 甲斐甲斐しくというか、少し楽しそうに円花の看病に勤しんでいる羽鳥の姿を、部屋の外から見届けてから、風雅は月白の看病のために彼女の部屋の中へ入った。 「――月白。ほら、新しい氷枕。頭あげて」 「…………風雅……近づかないでくださいと言ったはずですが」 「そっち壁な。俺こっち」 氷枕を交換してやりながら、風雅は寝苦しそうな表情をした月白の顔にかかっている髪を払ってやる。 「……貴方に感染すのは、私の本意ではありません」 「だから、そっち壁な。俺こっち」 わざとなのか、本気なのか、反対側を向いて話す月白に風雅は苦笑するしかない。 額に手をやって、熱が高いなと眉根を寄せた風雅は、薬…の前になんか食べもんか、と呟いて、冷蔵庫に使えそうな材料あったかなと考えた。 「……風雅、」 ポツリと何か言いかけた月白の言葉を音になる前に察した風雅は、しょうがない奴だな、とでも言うように目元をやわらげて笑みを見せた。 「今、そーゆーのいいから。しっかり休んで、早く治せって」 ◇
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