とある冬の日の、Cafe桜守-サクラノモリ-のスタッフたち

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翌日、さらなる事態がカフェスタッフを襲う。 予想外の現状に風雅は悩んだ。 「これは……臨時休業にすべきか」 自室の扉の前に佇んで、腕組みをしながら室内の様子を傍観していた風雅は呟いた。 昨日から寝込んでいる月白は仕方ないとして、その隣室、自分の部屋のベッドへと視線を向ける。 「…………いや、看病なんかしなくていいから……店を頼む」 風雅のベッドで、赤い顔をしながら呟いたのは円花だ。 「……全員感染、なんてことになったら……洒落にならないからな」 目を閉じたまま気だるげに呟いた円花に、風雅は淡々と突っ込む。。 「いや、あと生き残り4人だから。もう半分やられてるから」 円花の言う通り、下手したらこのまま全員感染しかねない勢いだ。 だが、風雅からしたら、もう手遅れな気もしなくもない。 恐るべしインフルエンザ流行シーズン。 「まさか、おまえまでかかるとはな……」 雨宮、深雪ときて、昨日は月白で、今日は円花ときた。 開店準備そっちのけで朝一番に円花を病院へ連れて行き、診断結果がインフルエンザだ。 これでカフェのスタッフが、深雪も含めると4人がインフルエンザに感染したことになる。 子どもは風の子じゃなかったのか、と嘆いたら、風雅の顔面めがけてベッドサイドに置かれているはずの目覚まし時計が飛んできたので、慌てて受け止めた。 投げたのは勿論円花だ。 「あっぶねぇな、オイ! 物投げんな! 人のベッド貸してやってんのに!」 とりあえず円花と羽鳥の相部屋は室内環境がひどいので、個室である風雅の部屋を病人部屋にすることになったのである。 今夜から円花と羽鳥の部屋で寝ることになるのか、と風雅は散らかり放題の部屋の惨状を思い浮かべてげんなりした。
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