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その後下界に戻った健二は、
一時周りの人々から死んだはずの人間が生き返ったなどと噂され恐れられたが、
次第に噂する人々も減りその後はごく普通に暮らしていった。
そして七十五年後、
九十四歳でこの世を去った健二は、
二度目のあの世への旅立ちを迎えた。
「よう、久しぶりやのう」
「えっと、どなたさんですか?」
「何や完全に忘れてもうたんか?
下界にいる時は記憶を消してあっても、
こっちに来たらまた思い出すはずなんやけどなぁ?」
「あっ落ちこぼれ天使!」
「落ちこぼれは失礼やないけ、
あれから大変やったんやで、
あんたを下界に戻してしもうたおかげで神様に怒られてなぁ、
天使検定六級の資格取り上げられてしもうて、
それから十年間も検定を受けさせてもらえんかったんや、
でもあれから頑張って出世したんやで、
今は天使検定初段や!」
「なんだ、まだ神様になれんのか」
「ほっとけ」
「まっこれからよろしく頼んます」
「おう、こっちこそ頼むな、
生き返らせろって言うのは無しやで」
「もうこれだけ生きれば充分じゃ」
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