少年は天使を探す

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抵抗する気力も無く、もつれる足を引きずって連れて来られたのは大きな家だった。一軒家でも、閑静な住宅街に何ら遜色ない立派な家だと思った。 「俺の家だけど、親は仕事で帰って来ない。お金だけはくれるけど、こんなデカイ家に独りだと意味無いなってたまに思うよ。 先に風呂入れば? オッサン、臭いよ? 脱ぐの手伝おうか?」 無理矢理脱がされそうになったので、風呂場に這っていって逃れた。水を飲んでひと息ついた。そういえば、数日水もろくに口にしていなかった。 少し頭がスッキリしてくると、今の状況が異常な事だと確信する。 ホームレスを無条件で風呂に入れてくれる人は居ない。しかも素性も知らない他人を、だ。 しかし、今は風呂に入れと言われたのだからお言葉に甘える事にしよう。 「服、用意したからちゃんと着てよ。前のは捨てるからね。」 少年はこちらが何か言う前に出ていってしまった。風呂から上がって用意されていた服に着替えた。
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