0人が本棚に入れています
本棚に追加
/8ページ
リビングに行くとカレーライスが用意されていた。
「聞きたい事があるんだけど、何にも食べていないみたいだから食べたら? レトルトで悪いけど……」
「有難いのですが……何故こんなことをして下さるのか、分かりません。」
少年は驚いた様子だった。次に面倒くさそうに言った。
「いや、俺はアンタを探してたの! 聞きたい事があるの! だから、先に食べろって!」
「私を……? 何処かでお会いしましたか?」
「……会った事無い。でも、アンタは熊野 結里を知ってるんだろ?」
「熊野……」
アルバイト先で出会った高校生の少女を思い出した。確かに少年は彼女と同じ高校の制服を着ている。
「え、知らないの?」
「いや……でも、何故私が彼女の知り合いだと?」
「それは……アンタも、なんだと思ってた。その……」
少年が何を言わんとしているのか理解した。彼も同じなのだ。
「まさか、彼女と一緒にいて、発現したのか?」
「そうだよ。そしたら、結里はショックだったみたいで……それから行方不明なんだ。」
「行方不明……?」
先刻、公園で見た夢を思い出した。
「成る程。つまり、君は熊野さんを探すのを私に手伝ってほしい。そう思っているんだろう。」
「……」
少年は断られると思ったのか、黙ってしまった。沈黙の後、テーブルに座った。
「いただきます。」
探し物がふたつになった。
最初のコメントを投稿しよう!