少年は天使を探す

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カレーを一緒に食べている間に、彼が公園で見た夢の中に出てきた少年だと気が付いた。 「大変助かりました。ありがとうございます。カレー代は……」 「いや、こっち無理矢理連れて来たんだ。いいよ。 それより、自己紹介してなかったよね。俺は林 達尋(はやし たつひろ)。結里の幼なじみで同じクラス。」 大人しそうな少年だ。私を引っ張って来た時はイライラした様子だったが、今はむしろ怯えている様に見える。勢いで連れて来たはいいが、知らない男が怖くなったのだろう。 「私は若松 慎也(わかまつ しんや)。友人に能力が発現したが、それを悪用しようとした。それを止める為に本人を探している。」 達尋は驚いた後に安心した表情になった。 勢いで拾ったホームレスが少しでもマトモだと思ったのだろう。 「熊野さんとはアルバイトが同じだった。」 「結里と同じアルバイトって……コンビニの?」 また驚いた顔。リアクションが分かりやすい少年だ。しかし、いい大人が定職に就いていないのだから、驚かれても無理は無いだろう。 「そうだ。私は能力の為にマトモに仕事が続いた事は無い。私は熊野さんにはそうなってほしくなかった。だから、相談には乗っていたよ。彼女はカンが鋭くてすぐにお互い超能力者だと分かった。」 「若松さん……の、能力って、何?」 率直に、真っ直ぐに聞いてくる少年に新鮮さを覚えた。能力を隠さなくていい相手は少ない。 「予知だ。」
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