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達尋はぽかんと口を開けた以外に反応は無かった。
「友人が……天沢というんだが、能力を発現させた時に彼の未来を見た。絶望して自殺する所だった。止めなくてはいけない。
……君の能力は?」
達尋は、はっとして話始めた。
「俺は、若松さんみたいにカッコイイ能力じゃないよ。なんか、探し物が分かる……みたいな?」
「探し物……?」
「それで、若松さんも探したんだよ。“結里の行方不明の原因を知ってる人”を。」
「私が、原因を……?」
「えっ? 知らないの? うーん。俺の能力ってハッキリしてなくて……アテになんないみたい……ハハ……」
落ち込む達尋。しかし、それは間違いだ。
「達尋君。君は能力を試しに使ってみたかい?」
「え? いやぁ、だって探し物するなんてそうそう無いし。わざわざ使う理由が無かったから
……」
「私自身と友人、そして熊野さんを見ていて最近分かった事なのですが。どうやら能力は使うと強くなり、それには段階がある様なのです。」
「段階? ゲームみたいにレベルがあるってこと?」
「それは面白い表現ですね。要はそういう事です。私も最初はデジャ・ビュの様な感覚でしか無かったモノが、ハッキリと夢という映像になりました。視れる未来もその長さも変わりました。」
「……つまり、俺も色んなモノが探せる様になるってこと?」
「そういう事です。もしかしたら、具体的に探したいモノが指定できる様になるかもしれませんね。」
「そしたら、結里も探せるかも……!?」
「そういう事です。」
目を輝かせる少年を目の前に、私は嫌な夢を思い返していた。
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