爆誕!!

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……そう思ってた。 なのになんだ、この状況は。 「桐島さん。 よろしくお願いしますね」 社長に呼び出された。 社長室の扉をくぐって、要件を聞く間もなく、社長室にいた男に手を掴まれた。 握手もどきみたいな状態だ。 それと一緒に耳に優しく触れる低い声。 何? 突然の展開に心臓がばくつく。 握られた手から、恐る恐る視線を上げていく。 目線が真っ直ぐのところで止まる。 黒い瞳に、目の奥を覗かれる。 ぞくぞくする。 あ、こいつも背が高い。 俺と変わらないくらい。 優しい微笑みに迎え入れられた。 そんな微笑み向けられたの、久しぶり過ぎて……緊張する。 緊張しすぎて頭が痛くなってきた……気がする。 「あ、うん。 よ……よろしく。 えーと……」 そういや、こいつの名前知らないぞ。 「梓です」 梓。 おそらく、芸名だよな。 そうだよな。 「あ、そう。 よろしく、梓……さん」 「どうぞ、梓とお呼びください」 「じゃあ、梓」 名前を呼んだだけだ。 なのに、梓とかいう男は本当に嬉しそうな表情を見せた。
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