2人が本棚に入れています
本棚に追加
むしろ、俺が面倒を見てもらうんじゃない。
「とりあえず、この子住むとこないから。
一緒に住まわせてあげて。
しばらく狭いと思うけど、大丈夫。
すぐに広いとこ用意するから」
「はぁ!?」
思わず社長を二度見する。
イッショニスマワセテアゲテ。
スグニヒロイトコヨウイスル
コノコスムトコナイ。
え。
なに。
俺は初対面の梓さんと一緒に暮らすの。
引っ越しさせられるの。
それ以前に。
住むとこないって……なに?
「お嫌……ですよね」
梓さんが苦笑いを浮かべる。
言葉の隅に僅かな寂しさを滲ませて。
「酷いね。
桐島は人間の屑だね」
社長が梓さんの頭をあやすように撫でる。
……いやいや。
俺は悪くない。
俺は悪くない……はず。
たぶん悪くない。
そう、悪いのはおれじゃない。
……。
「お嫌じゃ……ないです」
嫌です、なんて言えなかった。
まあ、嫌ではないです。
梓さん、悪い人じゃなさげだし。
……よくはないけど。
最初のコメントを投稿しよう!