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「お前の血ので?」
「王族の血は強いから、眷属以下ーー下位のヴァンパイアは飲めないけど、眷属にとっては体力促進剤になるんだよ」
これは、三百年前に偶然見つけた方法だ。
無茶をして動けなくなったイザークに、思いつきで血を与えたのだ。
すると、驚いたことに他の眷属を上回る身体能力を得られた。個体差はあるようだが、王族の血が眷属に力を与えるのは間違いない。
父も、兵力増強に使えると、喜んでいた。
ーーだが、デメリットもある。
「あの状態が続くのは、長くても十分程度。効果が切れたら体内の血が大幅に減少する。イザークにとっては本当に奥の手なんだよ」
ダルスの攻撃をかわし、一撃ずつ確実に攻撃を決めていくイザークを見ながら、俺は言う。
きっと、イザークもこの十分で、ダルスを退けるつもりだ。
俺が手を出すことがないよう、自分だけの力で。
本当に、親思いのいい子だ。
「イザークの力が尽きる前に、やれることをしようか」
「やれること?」
首を傾げるルーカス。
俺は頷きながら、彼の胸ぐらを掴んで立ち上がらせた。
ルーカスは驚いたように顔をこわばらせた。
「何を・・・・・・っ」
「いい加減、腹をくくって欲しいと思ってね」
俺の言っている意味が理解できているか定かではないが、ルーカスは黙ったまま、こちらを睨んできた。
「俺はイザークのように、生きる意志がないなら死ねーーと、お前に言うつもりはない。もし現状を少しでも変えたいなら、自分の足で立って、走れ!」
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