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「では、俺の任務とはーー?」
「私たちが雑魚の気を引いている間に、奴らの王国に潜入しなさい。そして、黒髪の王族バンパイアを捕獲するんだ」
黒髪の王族ヴァンパイアーー。
今朝、スクリーンに映し出されていた、あの男だ。
人間を騙し、補食するための美貌。
柔和な顔をしているが、本性は血に飢えた化け物にすぎない。
奴を殺せば、この戦いも終わる。
世界があるべき姿に戻るのだ。
だが、今団長は捕獲と言ったか?
「殺すのではないのですか?」
「ああ。黒髪の王族は利用価値がある。銀髪の王族は殺してもかまわないが、黒髪の彼だけは、間違っても殺すな。いいな?」
「・・・・・・了解」
「君なら、地下王国にも入り込める。頼んだぞ、ルーカス」
団長の手が俺の頬を包み込む。
暖かな感触に、わずかな疑問が溶けていくようだ。
黒髪の捕獲。俺の初任務。
「お任せください、団長。必ずやり遂げます」
この方のため、俺がやるべき事を完遂するのみ。
決行は今夜十九時。
ヴァンパイア共にとって動きやすい時間帯だろうが、問題ない。
俺にとっても、夜は力がみなぎる時間なのだから。
「じゃあ、俺は作戦に向けて準備をしてきます」
「ああ、その前にローガンに敵の情報を聞いておくといい」
とっさにハリス副団長の方を見ると、彼はこれでもかと顔をしかめ、団長を見据えていた。
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