第一章

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 そう言うが早いか、エルヴィスは俺の頭を抱き寄せた。  エルヴィスと額を重ね合わせると、脳内に映像が流れ込んでくる。 「新しい能力、早速使うのか」 「使える物は使うべきだろう」  そう。エルヴィスは氷を操る以外に、他者の記憶のコピーや、自分の記憶を他者に見せたりできる能力を新たに得た。  今まで複数の能力を有した王族はおらず、エルヴィス自身驚いていたが、ありがたい能力だった。  まだ完全に能力をコントロールできていないようで、俺の脳内に流れ込んできた映像は断片的だ。  泣き崩れているカトリーヌ。  そこへ、なだれ込んでくる聖騎士団。  彼らは手に銃に似た機器を持っており、それがデズモンドへ向けられた。  片手でかばった左目は無事だったが、右目が潰れる。  デズモンドの受けた焼けるような痛みが、はっきりと伝わってきた。 「これは、もしかして・・・・・・」 「日光を真似た光線だろう。デズモンドは片目だけですんだが、カトリーヌは両目ともやられたそうだ」  間近にあるエルヴィスの目が、怒りで燃え立つのが分かった。  彼の頬を撫でてなだめていると、新たな映像が浮かび上がった。  頭が三つあるーー狼? 「なんだ、これ。三頭犬?」  頭の三つある狼が、何十匹と迫ってくる。  デズモンドはカトリーヌを抱え、結界の境界線がばれないよう必死で逃げる。  聖騎士団をある程度引き離すと、彼は結界の中に飛び込み、息を潜めた。  ・・・・・・記憶は、そこまでだった。
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