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「ぐはーーっ」
「身の程を知れ、犬。貴様ごとき負け犬が、私に勝てるはずがない」
「・・・・・・っ、どうかな」
「!?」
視界の片隅で、何かが光った。
すると、目を焼き切らんばかりの大量の光が、私の目を貫いた。
実際に貫かれたわけではないが、それほど今の光は強かった。
「日光照射機・・・・・・!」
王族は日光を見ても平気だというのに、この光量は自然のそれを越えている。
目がくらんだ拍子にローガンの手を離し、私は数歩後退した。
その隙をついて、ローガンの爪が私に振りかざされたその時。何もない空間から湧くように、イザークが私の前に飛び出してきた。
そのまま両腕を広げて私の前に立つと、振り下ろされた鋭い爪を、その身で受け止めた。
「イザーク!?」
「・・・・・・ほら、やっぱりあなた一人じゃ手詰まりでしょう」
よろりと後ろへふらつきながらも、イザークは不適に微笑む。鮮血を地面へ滴らせながら、お返しとばかりにローガンへ蹴りを放った。
「いてて・・・・・・嗚呼、新しい服が破れてしまいました・・・・・・」
「馬鹿者、結界の中に戻れ!」
「私は殿下の眷属。殿下があなたを守れと言うなら、この身を盾にしても、あなたを守る義務があります」
だからあなたの命令は聞けません、と私の言葉を突っぱねると、イザークは再び身構えた。
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