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「ベースはオオカミだ。そこに、志願者の首を二つ取り付けただけだよ。正式名称は、ケルベロス」
「・・・・・・ライアンは、敵であるこの者たちを哀れんでいた。こんな姿に変えられ、苦しんでいるに違いないと」
「その点はご心配なく」
マースが懐から小さなリモコンを取り出し、どこかのボタンを押す。
すると、手前にいたケルベロスの首にある機械が、高い音で断続的に鳴り始めた。
ケルベロスは音に怯えて尻尾を股の間に挟んだが、その瞬間、点滅していた機械が爆発し、三つの頭を吹き飛ばした。
地面にごろりと転がった三つのオオカミの頭のうち、二つが蒸気を上げて形を変えていく。
完全に蒸気が消えると、オオカミの頭だったものは、白目を剥いて絶命している人間の男の頭へ変わっていた。
「ーーこのように、いつでも殺すことが出来るのだよ」
「下衆が」
敵に情などくれてやるつもりもないが、たった今首を飛ばされて死んだ者たちは、今からこの下衆の為に戦おうとしていたはず。
それを、指先一つで簡単に殺した。
私たちではあり得ないことだ。
仲間を愛し、仲間のために命を懸けるヴァンパイアには、とうてい出来ない。
「今夜で終わらせてやる」
騎士団員や三頭犬に向かっていく眷属たち。
私に襲いかかろうとしていたローガンを、イザークがくい止めている。
あの夜果たせなかったマースとの一騎打ちを、今ここで再演してやろう。
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