第一章

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「ごめん、ね・・・・・・びっくりしたね」 「なんで・・・・・・」 「俺の、お腹・・・・・・子供がいるんだ。大事な、俺の子」 「そーーそんなの守るために、自分の体を犠牲にしたのか!?」 「・・・・・・子供の方が、大事だから」  この子はまだ、自分では何一つまともに出来ない。  俺が守ってやらないといけない。 「ぐ・・・・・・っ」 「ちっ」  男は俺に駆け寄ると、胸に刺さっていた剣を引き抜き、自分の外套を俺の胸に当てた。 「おい、さっきの変な術を自分に使え!」  そんな事をしなくても、ヴァンパイアなら自然に治る。  治るはずなのに・・・・・・。 「おか、しいな・・・・・・。治りが遅、い・・・・・・」  手のひらを強く握りしめたときに出来た傷も、まだうっすら残っている。  俺の、ヴァンパイアとしての力全てが、弱っているのだと確信した。  自分の胸に手をおいて術式を施すが、せり上がってくる血が邪魔をし、うまく式を唱えられない。  朦朧とする意識の中、なぜか男が焦って止血しようとしているのが見えた。  俺を捕らえに来たはずなのに、どうしてこの男は俺を介抱しているのか。  おかしくて笑いがこみ上げた。  同時に血も口から吹き出し、首を伝う。  このままでは本当に危ないかも知れない。  子供だけでも、なんとか助けたいのに・・・・・・。 「エル、ヴィス・・・・・・」
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