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「か、は・・・・・・あっ」
「お前が・・・・・・お前が俺達を捨てていかなければ、こんな事にはならなかった! あの時団長の手を取って入ればーー戦わずに済んだんだ!」
仮に、俺がマースを選んでいたとして。
きっとそこに未来はなかった。
永遠に鎖に繋がれ、マースに陵辱されるだけだったはずだ。
けれど、俺は翼を得た。自由になるための翼を。
「俺は、マースに飼われるつもりはない・・・・・・お前にも」
「お前ええええええっ!」
「副団長!」
俺の首をさらに強く締めるローガンに、ルーカスが飛びついた。
「いけません、殺してしまいます!」
「うるせえ、触るな!」
「落ち着いて下さい!」
ローガンはルーカスを突き飛ばし、俺を憎々しく見下ろす。
また首を絞められる前に、俺は全力で炎を噴射した。
劫火がローガンとルーカスを押し流し、波のように周囲へ広がる。
炎の向こうで、ローガンがこちらへ来ようともがいているが、ルーカスに羽交い締めにされていた。
地面に転がっていた三頭犬や騎士、ヴァンパイアが死んだ後に残る赤い液体が、俺の炎で昇華していく。
奴らがおとなしく引き下がるまで、この炎を消してはいけない。
でも・・・・・・もう限界が近い。
体に負荷がかかり、心臓が早鐘を打つ。
子供にもどんな影響があるか分からない。
「もう帰れ。これ以上戦っても仕方なーー」
彼らに、そう諭した時だ。
炎の波の中からマースが現れ、剣を横へ一閃する。
衝撃波が炎をかき消しーー俺の腹部に、激痛が走った。
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