第一章

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 腹が、裂かれた。 「う、ぐあああああっ」  あまりの痛みに集中力が切れ、炎が消える。  地面に片膝をつき、身を守ろうと爪を振りかざすが、それより早くマースの手が俺の腹に突き刺さった。  裂かれた傷口からマースの手が侵入し、何かを掴む。 「あーーっ」  ずるり、と俺から取り出されたのはーー子宮。  俺と子宮をつなぐ筋を断ち切り、マースは微笑んだ。 「あなたの体を蝕む悪魔を、私が殺してあげましょう」 「や、め・・・・・・っ」 「子宮はまた作れるでしょう。そうしたら、私との子を嫌と言うほど産んで下さればよろしいのです」  吐き気がする。  痛い。苦しい。  俺の懇願もむなしく、マースの手に力が込められ、子宮が不自然に歪む。  すると、子宮は黒ずみ、鋼のように照り輝いていた。 「なに・・・・・・?」  マースが剣で刺そうとするが、子宮は剣も弾く。  一瞬で硬質化していた。  俺の子は、無事なのか? 「殿下・・・・・・何をしたのですか? あまり私を怒らせないでください」  子宮を掴んだまま、マースは俺の側へしゃがみ込む。  やや強引に俺の顎を持ち上げ、噛みつくように激しく唇を重ねてきた。  好きでもない相手とのキスが、これほど悪寒のするものだとは。  首を振るって逃れると、俺はマースの顔に向かって唾を吐きかけた。 「仮にも俺の眷属を名乗るなら、それらしく振る舞え、マース」 「・・・・・・困ったご主人様です」  マースは俺を抱え上げると、ルーカスに向かって投げつけた。
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