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腹が、裂かれた。
「う、ぐあああああっ」
あまりの痛みに集中力が切れ、炎が消える。
地面に片膝をつき、身を守ろうと爪を振りかざすが、それより早くマースの手が俺の腹に突き刺さった。
裂かれた傷口からマースの手が侵入し、何かを掴む。
「あーーっ」
ずるり、と俺から取り出されたのはーー子宮。
俺と子宮をつなぐ筋を断ち切り、マースは微笑んだ。
「あなたの体を蝕む悪魔を、私が殺してあげましょう」
「や、め・・・・・・っ」
「子宮はまた作れるでしょう。そうしたら、私との子を嫌と言うほど産んで下さればよろしいのです」
吐き気がする。
痛い。苦しい。
俺の懇願もむなしく、マースの手に力が込められ、子宮が不自然に歪む。
すると、子宮は黒ずみ、鋼のように照り輝いていた。
「なに・・・・・・?」
マースが剣で刺そうとするが、子宮は剣も弾く。
一瞬で硬質化していた。
俺の子は、無事なのか?
「殿下・・・・・・何をしたのですか? あまり私を怒らせないでください」
子宮を掴んだまま、マースは俺の側へしゃがみ込む。
やや強引に俺の顎を持ち上げ、噛みつくように激しく唇を重ねてきた。
好きでもない相手とのキスが、これほど悪寒のするものだとは。
首を振るって逃れると、俺はマースの顔に向かって唾を吐きかけた。
「仮にも俺の眷属を名乗るなら、それらしく振る舞え、マース」
「・・・・・・困ったご主人様です」
マースは俺を抱え上げると、ルーカスに向かって投げつけた。
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