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「ルーカス? どうした?」
ヴァンパイアの王が俺の顔をのぞき込む。
そして、俺の目元を指先で拭った。
・・・・・・俺は、泣いているのか?
「もう少し眠るといい。お前はただでさえ回復力が低いんだ」
ヴァンパイアの王が俺の額に手を乗せる。
じょじょに瞼を下げられ、俺はされるがまま目を閉じた。
***
再び眠りに落ちたルーカスを見つめた後、俺は椅子から立ち上がった。
「この男から目を離すな。起きたら、すぐに俺を呼べ、いいな」
「御意」
「エルヴィスの具合は? 今誰が看てる」
「デズモンド様と、カトリーヌ様がついておられます。未だ意識は戻られていないようです」
「・・・・・・分かった。後は頼む」
深々とお辞儀をする彼らの前を通り過ぎ、俺は独房を出た。
出口に控えていたイザークが、俺の肩に上着を掛ける。
黙ってそれに袖を通し、俺はエルヴィスの部屋へ足を向けた。
歩きながら、王国の外に意識を向ける。
より強力で、敵の攻撃を受けても響かない確固とした結界を張り巡らす。
以前の結界よりも集中力と精神力を要するが、どうでもよかった。
今は何かに集中していないと、心が折れてしまいそうだった。
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