第二章

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「ルーカス」 「・・・・・・何しに来た」 「君が暴れていると聞いた。嫌な夢でも見たのか?」  自分で聞いておきながら、彼を小馬鹿にするような事を言ってしまったな、と思った。  だが、意外にもルーカスは、小さく頷いた。  シーツを強く握りしめ、潤んだ瞳を隠すように、そっぽを向いた。 「どんな夢を見たんだ?」 「・・・・・・団長が、俺を切り刻んで捨てる。何度も何度も、捨てられる」 「・・・・・・」 「どっちが夢なんだ? 優しい団長か、俺に剣を向けた団長かーーもう、分からない・・・・・・!」  彼にとって、マースは親以上の存在だったに違いない。  腕だけ拘束具を解いてやると、ルーカスは両手で自分の顔を覆い隠した。 「俺には団長しか大切な物がないのに・・・・・・団長・・・・・・っ」  これは俺の推測にすぎないが、ルーカスはマースによって作られた命だろう。  最初に見たものを親と認識する雛鳥のように、彼はマースを盲目的に慕っていた。  一体何を使って生み出したのか想像もできないが、このままではルーカスが不憫だ。  横を向いたまますすり泣くルーカスの頭を撫で、俺はためらいがちに訊ねた。 「なあ、ルーカス。お前がよければ・・・・・・」 
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