第二章

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***  円柱状の水槽の中で、鋼鉄の子宮が寂しげに揺れていた。  まるで、引き離された母胎を探すように。  右、左、上、下ーー。  意志を持っているように浮いては動く。  手足のように垂れ下がった筋が、「ここから出せ」と言わんばかりに、水槽の表面を撫でていた。  出すわけがない。愛しいあの人の体に巣くっていた悪魔を、封じ込めなくては。  火で焼いても燃えず、レーザーすら通さないこの悪魔を、何としても滅ぼさなくては。 「悪魔といえど、子供を殺すのは胸が痛むね、ローガン」  心にもない事を言ってみる。  横で水槽を見上げていたローガンは、黙っていた。  時折、脇に抱えていたクリップボードを確認しては、水槽を見つめる。  少し、憂いているようにも見えた。  いや・・・・・・怒っている? 「やけに静かだね、ローガン」 「・・・・・・いえ、そんな事はありません」 「好きな人の子をいたぶるのは、お気に召さないのかな」 「俺はあいつの事なんて・・・・・・」 「いいよ、隠さなくて。君が殿下を好きだって事は、何年も前から知ってる。ーー私に嫉妬していることもね」 「!?」  本当に、彼は予想通りの反応をしてくれる。  必死に強がっていた顔が崩れる瞬間ーー楽しくて仕方ない。 「君が誰を好きになっても、私にそれを阻む権利はない。気が済むまで嫉妬してくれてかまわないんだよ?」 「ご冗談を」 「はは。確かに、つまらないことを言ったね。・・・・・・本当は、ルーカスの事が気になっているんだろう?」
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