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「どうして・・・・・・?」
「神は二物を与えない、という事だよ。狼とヴァンパイアの混血によって凄まじい力を得たが、代償として自らの半身を作れない体になった」
王とその直属の眷属のみが許された、人をヴァンパイアに変える行為。
銀狼である私なら、同じ人狼達を眷属に出来るのではないかと、当然考えた。
だが、普通の人狼では私の血に耐えられず死に、銀狼は何も変化が起きなかった。
「きみが私と同じ力を得るには、王族ヴァンパイアかその直属の眷属と主従の契りを交わす以外、方法はない」
「そんな・・・・・・」
「成功例が私以外にいないから、全て仮説にすぎないけどね。王族の眷属も、銀狼を変化させられるかどうかも分からない」
「確実なのは、王族ヴァンパイアだけって事ですか」
「それも仮説だ。私は運良く殿下の血に適合できただけかもしれない」
そう、この方法はまだリスクが大きい。
大きな力を得るために、貴重な銀狼を犠牲にするわけにもいかないし・・・・・・
「今は、私の片腕として持てる力を使ってくれ。必ず、君にも同じ力をあげるから」
「分かりました」
「いい子だね。ーーそれじゃ、しばらくの間本部の指揮を頼むよ」
「え? どこかに行かれるのですか?」
「ああ。昔私を虐げた王様の研究資料を発掘したいから、少し遠征する」
「・・・・・・その男も一緒にですか?」
「ああ。運動させてあげないといけないし」
用意されていた私の荷物を持ち、黒髪の青年が歩み寄ってくる。
今度は長髪仕様にしてみたが、なかなか好みの外見だ。
やはり、髪は長い方があの方に似ている。
「さあ、ガルダ湖まで初遠征だ。あの湖の下にはお宝が眠っているから、頑張って探そうねーールーカス」
健気に私を待ち続ける青年ーールーカスの頭を撫でてやると、彼は嬉しそうにはにかみ、大きく頷いた。
今度こそ、君は私の望む「ルーカス」になれるかな?
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